海外在住と両親の老い、そしてコロナ。

ここ数年で耳にするようになった日本の両親の老いや死。
勢いで飛び出たころには考えもしなかったし、なんだかいつも他人事だった。

「胃にガンがあるんだって。手術しなくちゃいけない。」

「…。」

「この病院はこの手の手術で実績があってね、お腹切らなくてもいいらしいんだよ。」

「……。」

いっていることが頭に入ってこない。

ゆっくり事情をきいたら、胃潰瘍の定期健診をしていたおかげで早期発見ができたこと。最近は腹腔鏡下(お腹を切らずに小さな穴をあけ、そこから内視鏡を挿入してモニターを見ながら行う術式)の技術が発達しているので、糖尿病を併発している高齢の父でも安心して手術が受けられそうなこと。等々、安心材料がでてきた。

それでも私の頭によぎったのは

もしものとき、すぐ駆け付けられない!?

今すぐ出発しても、最短で親に面会できるのは2週間後だ。それにPCR検査で陰性だったとしても弱っている人に接触していいのか不安も残る。

急いでググると、ガンで抗がん剤治療中は免疫力が低下しているのでワクチンは避けた方がよい、とある。
免疫力低下、コロナにとってもリスク、ワクチンとってもリスク。我が子に会ってもリスク。リスク。リスク。

危険、危険!パンちゃん、危険!!

去年、コロナのため控えた夏休み帰国。
母は今年も孫(私の息子)に会えなかったら死んでしまう、と、父の手術よりもこちらが心配そうだ。

そうはいってもーーー。不測な事態が続きすぎて判断が難しくなっている。
偶然似たような環境にあったママ友は、行動力抜群。ササッと帰国してきちんとサポート。彼女は万全を期して、入国後2週間ホテル滞在したという。
そんな彼女を羨ましくみつめつつ、自分の足元をみつめ返してみる。

御年83歳の父。

手術に向けた10日間の内科治療を終え

「いやあ、なんつったって俺はすごい優秀(?)だったんだから。」
「ほか悪いとこはなかったし、視力も肌のつや(??)も83歳とは思えないってさ。」

なんだか入院前より元気になっている。

「それにさ、なんつったって看護婦さんにモテモテ(???)だったんだよ。」

あーなるほど。

それにしてもこのオラオラ具合、人種が違うのに夫に似ている。生命力が異常に強そうなとこもそっくりだ。

ぐずぐずしててもショウガナイ。
心配されるべく本人から元気をもらい、なんの根拠もない持前の強運と異常そうな生命力にかけることにする。

とはいえ、頼もしい兄がいるのでそんなことも通用するのですが。

明日、手術。
がんばれ、お父さん。

 

An
An

国内にいても遠くに住んでいたら同じかな。最近はなくなりましたが、日本滞在後の帰国便で終始号泣してた時期がありました。こちらの免疫ができてしまったのか、サバイバル進度がすすんだのか。はて。

 

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